【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
『運送業界でも大手の篠原運送(株)が、四月二十六日、二度目の不渡り手形を出して、事実上倒産した。昨年暮れに同会社のトラックが起こした人身事故から……』
そこまで、目を通したところで、
「茉莉? 起きているのか?」
家の中から聞こえてきた父の声に、思わずびくりと飛び上がる。
疲れきったような、父の声。
たぶん、父も眠れなかったのだろうと思うと、胸が痛んだ。
「あ、うん、新聞を取りにきたとこ!」
「そうか……」
「今、コーヒー入れるね!」
新聞をたたみ小脇に抱えて、ダイニングキッチンへ小走りに向かった。
いつもよりも、丁寧にコーヒーをおとす。
ダイニングキッチンに、コーヒーのいい匂いが立ちこめる。
私は、トースターに食パンを二切れ差し込み、スイッチを入れて、二人分のコーヒーをマグカップに注いだ。