【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
やっと、その言葉の意味が脳細胞に到達した私は、慌てて自分の鼻を両手で押さえた。
ヌルッ。
濡れた感触が、手のひらに伝わる。
恐る恐る手のひらを広げると、そこには目にも鮮やかな赤い色彩。
――げげっ!?
「早く拭いた方がいいと思うけど?」
語尾が、笑っている。
「あ、は、はひ、あひがとうごはいまふっ!」
私は、有り難くティッシュをお借りした。
四つに畳んで、鼻の下を押さえる。
家に居るなら、迷わずティッシュを丸めて鼻の穴に突っ込む所だけど、さすがにそれは羞恥心が邪魔をした。
ああ、それにしても。
人生二十年で初めての就職面接日。
なぜにこんな日に、鼻血垂れますか?
どこかで、意地悪な小悪魔が、ほくそ笑んでいる気がする。