戦慄のクオリア
「じゃあ、ラスールの言い分は勝手すぎるってこと?」
「彼らも戦争の常識を理解してないわけはないのよ」
「じゃあ、どうしてあんなことを?」
「頭と心は別物ってこと」
スカーレットは隣に座るジェイドを抱き寄せた。
「頭では理解できても、心が追い付かない。だって、頭と違って心はバカだから」
電源が切られたテレビを見つめるスカーレットの瞳に何が映っているのかジェイドには分からなかった。其れでもいいとジェイドは思った。スカーレットの全てを理解できなくても、自分がスカーレットを愛していることに変わりはなく、何があっても裏切ることはないと思っていた。
翌日、学校はサジェスタンの処刑の話で持ちきりだった。スカーレットが所属する生徒会も例外ではなかった。生徒会の人間ではないが、スカーレットの弟というだけで仕事を手伝わされているジェイドは黙々と仕事をこなすスカーレットを盗み見た。スカーレットの表情からは何を考えているかジェイドに読み取ることはできなかった。
「会長はサジェスタンの処刑を見に行ったんですか?」
「ええ。お父様のご命令で」
生徒会長のミレイ・イクアータは国防大臣の娘。其の為、国の行事にはよく借り出される。サジェスタンの処刑の時も仕方がなく。
「敵の王とはいえ、人が処刑されるのを見るのは、あまり良い気分ではなかったわ」
スカーレットは一瞬、手を止め、ミレイを見たが、特に何かを言うことなく、仕事を再開した。
「スカーレット・ルーフェン、少しいいか?」
ノックもなしに生徒会室に入って来たのは顧問のグレン先生だった。
「はい」
「先生、こう見えても生徒会は忙しんですから、早くスカーレットを返してくださいね」
ミレイに片手を上げて返事をしたグレンはスカーレットを引き連れて部屋を出て行った。
「あの二人、本当はできていたりして」
「何を言っているの、アドルフ」
副会長のアドルフ・アルバートの言葉に生徒会メンバー全員が呆れていた。みんなの反応にアドルフは不満そうに口をすぼめて抗議をした。
「だって、よく二人きりで話してるじゃん」
「でも、先生と生徒ですよ」
書記のレレナ・ナイールの指摘にアドルフはチッチッチッと、舌を鳴らし、人差し指を左右に振った。
「彼らも戦争の常識を理解してないわけはないのよ」
「じゃあ、どうしてあんなことを?」
「頭と心は別物ってこと」
スカーレットは隣に座るジェイドを抱き寄せた。
「頭では理解できても、心が追い付かない。だって、頭と違って心はバカだから」
電源が切られたテレビを見つめるスカーレットの瞳に何が映っているのかジェイドには分からなかった。其れでもいいとジェイドは思った。スカーレットの全てを理解できなくても、自分がスカーレットを愛していることに変わりはなく、何があっても裏切ることはないと思っていた。
翌日、学校はサジェスタンの処刑の話で持ちきりだった。スカーレットが所属する生徒会も例外ではなかった。生徒会の人間ではないが、スカーレットの弟というだけで仕事を手伝わされているジェイドは黙々と仕事をこなすスカーレットを盗み見た。スカーレットの表情からは何を考えているかジェイドに読み取ることはできなかった。
「会長はサジェスタンの処刑を見に行ったんですか?」
「ええ。お父様のご命令で」
生徒会長のミレイ・イクアータは国防大臣の娘。其の為、国の行事にはよく借り出される。サジェスタンの処刑の時も仕方がなく。
「敵の王とはいえ、人が処刑されるのを見るのは、あまり良い気分ではなかったわ」
スカーレットは一瞬、手を止め、ミレイを見たが、特に何かを言うことなく、仕事を再開した。
「スカーレット・ルーフェン、少しいいか?」
ノックもなしに生徒会室に入って来たのは顧問のグレン先生だった。
「はい」
「先生、こう見えても生徒会は忙しんですから、早くスカーレットを返してくださいね」
ミレイに片手を上げて返事をしたグレンはスカーレットを引き連れて部屋を出て行った。
「あの二人、本当はできていたりして」
「何を言っているの、アドルフ」
副会長のアドルフ・アルバートの言葉に生徒会メンバー全員が呆れていた。みんなの反応にアドルフは不満そうに口をすぼめて抗議をした。
「だって、よく二人きりで話してるじゃん」
「でも、先生と生徒ですよ」
書記のレレナ・ナイールの指摘にアドルフはチッチッチッと、舌を鳴らし、人差し指を左右に振った。