戦慄のクオリア
「レレナは堅いなぁ。恋愛に立場は関係ないのだよ」
ついこの間まで戦争していたとは思えないお気楽な発言にジェイドは乾いた笑いをもらした。戦争といっても、相手はラスール帝国に比べることもできない程の小国、イカルガだ。地方は甚大な被害を被ったらしいが、首都のシュタットは無傷と言ってもいいだろう。現に生徒会メンバーにとって戦争は自分達の国で起こったことではなく、どこか遠い場所で起こった夢物語なんだろう。だが、ジェイドとスカーレットにとっては違う。
「なぁ、ジェイド。姉さんから何も聞いてないの?」
「いくら弟でも恋愛の話なんてしないんじゃないの」
ジェイドが答えるよりも先にミレイが口を開いた。だが、アドルフが聞きたいのはミレイの答えではなく、ジェイドの答えだ。
「どうなんだ、ジェイド」
だからミレイの言葉を無視して、アドルフはジェイドに再度、質問をした。生徒と教師の恋なんてあるはずがないと思いながらも、みんな心の何処かで非現実的な世界を望んでいる。だから、生徒会室に居る全員がジェイドに注目をしていた。戦乱の世に能天気なことだとジェイドは心の中で彼らを笑った。
「姉さんと先生はそんな仲じゃないです」
「ほら、やっぱりね」
ミレイは勝ち誇った顔をした。
「つまんねぇ」
アドルフは不満をもらし、机上にうつ伏せになる。其の様子はレレナは楽しそうに眺めていた。ただ、スカーレットとグレンの仲を知っているジェイドは大切な姉を心配していた。既に別の話題に移っているミレイとアドルフは気づかなかった。だが、二人の会話の聞き役にまわり、尚且つジェイドの一番近くに居たレレナだけがジェイドの異変に気が付いた。だが、彼女は其れを指摘することができなかった。
生徒会室によく来ているジェイドとは幾度か言葉を交わしたことがあるが、其れでも彼を理解しているとは言い難い。何処までジェイドに踏み込んでいいのかレレナには分からなかった。だからレレナは見て見ぬふりをすることにした。
「イカルガ王家のことは知っているな?」
グレン専用の個室にスカーレットが入って、間髪入れずに直ぐにグレンは確認をした。
「メディアも学校も其の話題でもちきりですから」
「君はどう思う?」
「何がですか?」
「イカルガ王国の敗戦、サジェスタン王の処刑、その他の王家の国外追放」
ついこの間まで戦争していたとは思えないお気楽な発言にジェイドは乾いた笑いをもらした。戦争といっても、相手はラスール帝国に比べることもできない程の小国、イカルガだ。地方は甚大な被害を被ったらしいが、首都のシュタットは無傷と言ってもいいだろう。現に生徒会メンバーにとって戦争は自分達の国で起こったことではなく、どこか遠い場所で起こった夢物語なんだろう。だが、ジェイドとスカーレットにとっては違う。
「なぁ、ジェイド。姉さんから何も聞いてないの?」
「いくら弟でも恋愛の話なんてしないんじゃないの」
ジェイドが答えるよりも先にミレイが口を開いた。だが、アドルフが聞きたいのはミレイの答えではなく、ジェイドの答えだ。
「どうなんだ、ジェイド」
だからミレイの言葉を無視して、アドルフはジェイドに再度、質問をした。生徒と教師の恋なんてあるはずがないと思いながらも、みんな心の何処かで非現実的な世界を望んでいる。だから、生徒会室に居る全員がジェイドに注目をしていた。戦乱の世に能天気なことだとジェイドは心の中で彼らを笑った。
「姉さんと先生はそんな仲じゃないです」
「ほら、やっぱりね」
ミレイは勝ち誇った顔をした。
「つまんねぇ」
アドルフは不満をもらし、机上にうつ伏せになる。其の様子はレレナは楽しそうに眺めていた。ただ、スカーレットとグレンの仲を知っているジェイドは大切な姉を心配していた。既に別の話題に移っているミレイとアドルフは気づかなかった。だが、二人の会話の聞き役にまわり、尚且つジェイドの一番近くに居たレレナだけがジェイドの異変に気が付いた。だが、彼女は其れを指摘することができなかった。
生徒会室によく来ているジェイドとは幾度か言葉を交わしたことがあるが、其れでも彼を理解しているとは言い難い。何処までジェイドに踏み込んでいいのかレレナには分からなかった。だからレレナは見て見ぬふりをすることにした。
「イカルガ王家のことは知っているな?」
グレン専用の個室にスカーレットが入って、間髪入れずに直ぐにグレンは確認をした。
「メディアも学校も其の話題でもちきりですから」
「君はどう思う?」
「何がですか?」
「イカルガ王国の敗戦、サジェスタン王の処刑、その他の王家の国外追放」