今を生きよう～あなたにタカラモノはありますか～

次の日、いつも通り、クラスに行った。

「みーちゃん！優太転校するねんて！あんなにクラスまとめてくれたのになぁ…」

優太君…堺優太(さかいゆうた)は、学級をまとめてくれるリーダーだった。

人気者で、すごく運動神経が良い。
あれ？なぜか優太君がこっちに来た。

「深月ちゃん、今までありがとう。なかなかしゃべる機会がなかったけど、音楽の時はありがとう」
優太君が言う音楽の時。多分あのときだ。

ある音楽の時間。テストが２つあった。

１つ目は、聞き取りなどの筆記問題。
２つ目は、男子と女子の出席番号順で、順番に二人で歌うテスト。

優太君は、弟に音楽セットを貸したままで授業に来てしまい、初めて忘れ物をしたみたいだった。

「出席番号順でも一緒に歌うし、貸そうか？教科書なら一緒に見れるから」
私は優太君に声をかけた。