葵葉は元姫で元姫のトラウマは葵葉①


「…誠はこっち?」



「ん?

ああ。」



「…あ、私あっちだから。

…じゃあまた。」



「おう。」



…嘘ついちゃった。


私もあっち方向なのに。


…悪いこだな、私。


……氷薇の名前を聞いた時から、


心臓がうるさすぎる。


プルルルルプルルルル――


「どうした葵葉?」


「…さ、くっ……

わたし……」


「葵葉!?

今どこだ?」


「い、ま?
…さんちょう、めの、
公民館…」

「…今行く。
大丈夫か?
多分二分くらいで着くけど。」


「…ありがと、う。」

「…切るぞ?」

ブチ

「さく…」


あーあ、

泣いちゃった…

泣く資格なんて、

これっぽっちもないのに…

しかもこんな道端に…

座り込んで…


神様…


私は、どうしたらいいですか?


「葵葉!!」

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