それでもやっぱり普通がいいっ!
「えっ、お前、漫画家!?」
「あぁ」
驚いて聞き返すと、イケメン竜上は
だからどうした、と言わんばかりの顔をする。
「じゃあ、つまり……」
アシスタントって……漫画家の……!?
「な、なんで俺!?」
アシスタントなんて……。
「俺にはまだプロのアシスタントを雇える金はない。」
「いや、まぁ……分かるけど……」
それは納得するけど……。
「……前に、見たんだ
お前の描いた、絵。 」
「えっ……」
一瞬、竜上の言葉にドキッとした。
「美術で描いたのだろう? あの風景画は」
「えっ……あっ、あぁ……
そうだけど……」
そう言われて
少し安心する。
……美術で描いた絵か。
そういえば、美術の授業で描いたな……。
転校してきていきなりの授業が風景画を描け、というものだった。
そうだよな……竜上が……
知ってるわけない。
「一目みて、思った。
お前しかいないと」
続ける竜上。
「あれは、俺が求めていた絵だ。
それに、お前ほどうまい絵を描けるやつは
この学校にいない」
「さ、さすがにそれは言い過ぎだって……
俺より上手いやつなんてこの世に何千、何万人いるよ……」
実際、そうだ。
確かに俺は、他の高校生に比べたら上手いかもしれない。
でもこの世に絵が上手い人なんて、山ほどいる。
それは、嫌と言うほど分かってる。
俺に到底漫画家のアシスタントをできるわけ……
「お前の、その謙虚さが。
その謙虚さがあるから、お前は成長する。
もっともっと絵が上手くなる」
竜上の……その言葉に、心が跳ねた。