それでもやっぱり普通がいいっ!
「……それ以上の関係はっ?」
食い入るような口調で言われる。
ちょっと待ってちょっと待って!
この子は何を期待してるの!?
瞳をキラキラさせて一歩ずつ近づいてくる若草さん。
それに対して一歩ずつ引いてく。
「ないっ! ないない! 友達! 」
そうして手をブンブン振ると、キラキラだった彼女の瞳から光が消えていく。
「……本当に?」
「ほ、ほんと」
「本当の本当に友達?」
「い、いえす友達……」
「……」
「……」
若草さんはなんとも言えない表情になって俯いていく。
こ、これはどういうことだろう。
「えっと……若草さん?
それって、どういう……」
俺は……恐ろしい……
聞いてはいけないことを聞いてしまった。
カチッ
何かのスイッチが入る音がした。
「えっ、なに今のお……」
気になって聞こうとすると、俯いてた若草さんが勢いよく頭をあげる。
「おわっ!?」
勢いで頭が顎にぶつかりそうになって慌てて避ける。
「な、わ、わか」
「実はですねっっっ!」
今までの顔が比ではないくらい、ものすごい形相で叫ぶ。
……気のせいではなかった。
あのカチッという音は……
彼女の……若草さんの、腐女子スイッチが入った音だった。