それでもやっぱり普通がいいっ!
ーー
竜上と仲良く……? なった時から
俺たちのたまり場は屋上だった。
なんで屋上の鍵空いてるの?とか突っ込まないでください。
竜上の権力だから。
俺だって謎。
いつだって、当たり前のように鍵をポケットから取り出す。
「……」
ジャラっと竜上のポケットから出てきた屋上の鍵を見つめる。
こいつ……恐ろしいやつ……!
竜上を見つめる。
普通にドアを開いて屋上へ。
「はい! 仲村くん」
若草さんにパンを貰う。
二人で買ってきてくれたみたいだ。
「おっ! これめっちゃ人気のパンじゃん!
よく買えたね?」
購買で売られている、生徒から絶大な人気を誇る「購買のおばちゃん特製 スペシャル焼きそばパン」
毎日5個限定で、購買は焼きそばパンを求める生徒たちの戦場。
いつも殺気立った人だかりが出来ていてなかなかGETできる代物じゃない。
実を言う俺も、まだ2ヶ月たっても買えていなかった。
だいたい3年生が権力を使って俺たち後輩は輪に入ることさえ出来ない。
それを3つもGETした二人。
すごいな……
そう感心していると、
「実は、竜上くんと行ったらみんな道をあけたんだよね
みんなささーっと退いてくれて……」
「……」
不思議そうに笑う若草さん。
その光景を想像する。
そういえば、一緒に帰ろうとした時だって
俺らが通るところは道が開けていた。
やっぱり、近より難いのか……。
なんでだろうね~と平和そうに言ってる若草さんと、
淡々と焼きそばパンを食べている竜上を見つめる。
「……これから使えそうだな」
ボソッと呟く。