それでもやっぱり普通がいいっ!


「うま~……本当にこれはうまいわ……」


焼きそばパンを口に頬ぼる。

とにかくうまい。
この一言に尽きる。


「確かに美味しいね!」


笑顔の若草さんが頷く。

初めて食べたけど、ここまで美味しいとは。
あの人だかりにも納得。


「なぁ、竜上?」


そういえば、さっきから竜上がいつにも増して静かな気がする。
ここに来てからまだ一言も喋ってないような……。

声をかけると、竜上はボーッとしてたのか
ビクッとする。


「あ、あぁ。 そうだな……
この焼きそばパンは……」


「……竜上が食べようとしてるの、筆箱だけど」


「!?」


あーん、と筆箱を食べようとしている竜上。

それに気づいてあわあわしだす。


「……」


……竜上がおかしい!?(いつもだけど)


いや、今日の竜上は違う意味でおかしい。

もちろん、人間離れしてると思ったけど
まさか筆箱食べるか……!?


おいしく……は、ないだろ。


よく見てみると、ずっとボーッとしてるし
焼きそばパンなのに焼きそば先に食べちゃってるし。


「……竜上? どうかしたか?」


やっぱり、今日の竜上は少し変だ。
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