桜の下で、君を想う。

時間は止まったままだ。あの日から。

俺は今までも、多分これからもずっとしても仕切れない後悔を背負って生きていく。

絵美、俺は君に何もまだ伝えてない。
なのに俺を独り残していくなんて。
でも、すべてそれは僕のせいで。

あの日、桜が満開になった日に俺は伝えることがあると絵美を呼び出した。

高校最後の春だった。

知らなかったんだ、彼女がどんな思いで会いにきたかも、どんな覚悟をしたのかも。

桜色のカーディガンを着ていた彼女が現れた時、俺は緊張してただそこに立っていた。

よく似合ってた。
言えなかったけど。

今になればわかる。
いつも笑っていたはずの彼女の顔はこわばっていて、でもそれに気づけず、ただそこにたっていた。

伝えなければ、伝えなければ。

「絵美、」

そう切り出した俺の声はカラカラで、

「絵美、俺...お前のことが・・・その・・・」

「ごめん。ごめんなさい。」

下げていた目線をあげて彼女の顔を見たとき、一瞬だけ迷いを見た。

「ほんと、ごめん。」

泣きそうな顔をして逃げて行くように走り去った君はどんな気持ちだったんだろう?


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