桜の下で、君を想う。
ベッドに横たわっている絵美の姿は綺麗だった。
色白の肌と、桜色の唇、まるで桜のような。
椅子に座り、彼女の手を取った。
冷たい。
「そっか、お前冷え症だったな。」
彼女のその冷たい手を包むように、撫でた。
「二回目だな。絵美の手を握るの。」
一回目は、君が泣いてた日。
二年前のあの日。
ただ、泣いていた君に何ができるかわからなくて、ただそっと手を握った。
俺の熱が少しは伝わるように。
俺はあの頃はすでに絵美が好きだったよ。
ずっと前から。
「絵美、俺まだ何も言ってねえよ。絵美、お願いだよ。恨むなら恨んでくれてもいいから起きてくれよ!俺のこと好きじゃなくていいから!目を覚ませよ!みんなお前のこと待ってるぞ!」
そんなことを言っても、君は起きなくて。
あの日、俺はずっと君の隣で泣いていた。