カミヲリ
カスミ
「夏休み。今日が来てしまった。明日は明日、くる」
カスミは頭を抱え、哲学めいたことを呟く。
元来、切り替えが早く、校内一の才女と呼び声高い彼女ですら、憂鬱な気持ちを隠せなかった。
それどころか、こんな気持ちになるくらいなら、クーラーの効いた涼しい公民館の中よりも炎天下の外の方がましに思えた。
「かすみちゃん」
鈴を転がすような声。
幼なじみのアシタだ。
「アシタぁー、どうしよう」
「どうしようって、ユエちゃんのこと?」
アシタは柔らかなボブを揺らし、首を傾げる。
ユエは夏休み直前に転入してきた転校生だ。
心細いだろうと、持ち前の正義感と親切心から、明日、ユエに町を案内することになっていた。
「案内するっていったけど、行かなきゃだめだよね、神社」
「そうだよねぇ。今年の夏休みの課題に郷土研究ってあるみたいだからねぇ」
アシタは困ったように言う。
今年の夏休みの課題の中には、「郷土研究」というものがあった。
自分たちの住んでいる村についてなんでもいいから調べてこいというものだ。
そして、大抵そういう資料は神社か、公民館の隣の小さな図書館から借りてくるのだ。
神社は絶対に外すことができない場所だった。
しかし、カスミは神社が苦手だった。
正確に言うと、この町の神社に住んでいる神主の息子が苦手だった。
カスミは頭を抱え、哲学めいたことを呟く。
元来、切り替えが早く、校内一の才女と呼び声高い彼女ですら、憂鬱な気持ちを隠せなかった。
それどころか、こんな気持ちになるくらいなら、クーラーの効いた涼しい公民館の中よりも炎天下の外の方がましに思えた。
「かすみちゃん」
鈴を転がすような声。
幼なじみのアシタだ。
「アシタぁー、どうしよう」
「どうしようって、ユエちゃんのこと?」
アシタは柔らかなボブを揺らし、首を傾げる。
ユエは夏休み直前に転入してきた転校生だ。
心細いだろうと、持ち前の正義感と親切心から、明日、ユエに町を案内することになっていた。
「案内するっていったけど、行かなきゃだめだよね、神社」
「そうだよねぇ。今年の夏休みの課題に郷土研究ってあるみたいだからねぇ」
アシタは困ったように言う。
今年の夏休みの課題の中には、「郷土研究」というものがあった。
自分たちの住んでいる村についてなんでもいいから調べてこいというものだ。
そして、大抵そういう資料は神社か、公民館の隣の小さな図書館から借りてくるのだ。
神社は絶対に外すことができない場所だった。
しかし、カスミは神社が苦手だった。
正確に言うと、この町の神社に住んでいる神主の息子が苦手だった。