勇者様と恋人宣言―アラサー勇者は恋がしたい―
プロローグ
その剣を抜いた者は勇者となる。
勇者は魔王を倒すものである。
勇者はけして運命から逃げてはいけない。
ーー昔からこの国に伝わる伝説だった。
何百年も昔は、勇者がいたそうだ。
しかしながら、平和なご時世。
今は人間も魔族も仲良くやっていて、
魔王を倒そうなんて者はいなかった。
それは、何百年も昔の勇者と魔王が協力し、
和平協定を結んだことによる平和だった。
教科書にだって載っている。
常識だ。
平和な世界に魔王殺しの剣はいらない。
だから、その剣はいまや国の観光資源となり、
都の広場にある岩に刺さったままの状態で
平和の象徴として飾られている。
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