【短編】脇役少女は時を舞う
走って走って、よく分からない裏路地に来てしまった。

絶え間なく流れる涙が、着物を濡らしていく。

「ごめんなさい…」

お母さんに言われて幾度となく呟いてきた言葉。

つまらなくてごめんなさい。
私が娘でごめんなさい。

紗菜じゃなくてごめんなさい。

頑張っても、無理だったよ。

要らないよね。

私だって大嫌いだもん、こんな私。

陰湿で、悪い子で、つまんない自分なんて。

紗菜が笑ってくれるから頑張ってきたよ。

でももう無理だ。

それでも誰かが追いかけて来てくれるのを期待してたなんて、馬鹿みたい。

そもそも私の存在に気づいてなかったかもしれないのに。

いてもいなくても変わらないのに。


「音っ!!!」

聞いたことのある、声。


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