初恋ノイズ
「はぁ。毎日勉強勉強勉強勉強勉強……」
「そうだね。早く受験終わらないかな。」
夏期講習は、午前中だけ。
何とか無事講習には間に合って、今はその放課後。
千里と学校のベンチでお昼にする。
あたしはお弁当。千里は学校の自販機で買ったパンだ。
「受験終わったって、高校行けばまた勉強だよ。」
千里はパンを一かじりして、眉をしかめる。
「やめてよ~!今は受験合格する事だけで頭いっぱいいっぱいだよ~!」
あたしもお弁当のウインナーを口に放り込んで言う。
「そうでもない奴等が沢山いるよ。ほら。」
あたしは、千里の指をさす方に顔を向ける。
そこには、あたし達と同じ、夏期講習を終えたと思われる男女二人。
仲良く手を繋いであたし達の横を通り過ぎる。
「3組の佐々木と一ノ瀬だね。」
「佐々木君と一ノ瀬さんて付き合ってたんだ!」
あたしは、驚いて箸を落としそうになる。
「最近だよ。佐々木から告ったらしいよ。
」
「ふぇ~。受験生なのにみんな余裕なんだね……。」
「あいつらだけじゃないよ。最近3年のカップル率やばいんだから。」
「え?そうなの?」
千里の情報網は相変わらずだなー。
「中学校生活最後の夏祭りに向けての、準備なんだろうね。」