初恋ノイズ
ミーンミーンミーンミー……
ジーワッジーワッジー……
青い空。
遠くに大きな入道雲。
眩し過ぎる太陽に、手で影を作り、目を細める。
「あっついなぁ……。」
でも、夏って嫌いじゃない。
なんだか、世の中がキラキラして見えるから。
駐輪場に差し掛かると、洸ちゃんが見えてくる。
自転車のサドルに腰をかけて、耳にはイヤホン。
洸ちゃんの真っ黒で柔らかそうな髪の毛が、夏の風に優しく舞う。
頬から滴り落ちるキラキラした汗。
真っ白なYシャツから覗く、あたしよりも少し焼けた肌。
…………綺麗だなぁ……。
その絵になる光景に、思わず見とれる。
少しずつ音を増す鼓動が、心地よい。
「……遅い。」
あたしは、洸ちゃんと目が合ってはっと我に返る。
やだあたし!
何洸ちゃんなんかに見惚れちゃってるんだろ!