初恋ノイズ
「はい。」
「ありがとう!」
帰り道の途中にあるコンビニ。
そこから出てきた松田が、アイスをあたしにくれる。
道中、何を話したらいいか分からないあたしは、ずっと暑い暑いと言って話をなんとか繋いでいた。
だからか、松田が「奢るから!」と言ってコンビニにアイスを買う為に寄り道をする。
これじゃ、アイス食べたさに暑いって言ってたみたいで申し訳ない。
「暑いから直ぐ溶けちゃうね!」
うわっ。
また、暑いって言っちゃったよ!!
あたしは、溶け始めた棒アイスを上手く舌で掬いながらそんな事を考える。
「そうだね。」
松田は、そんなあたしを見て柔らかく微笑んで、ポケットティッシュを差し出してくれる。
「あ、ありがとっ!」
松田って……本当スマートにこういう事するなぁ。
王子って言われてる理由が良く分かる。
洸ちゃんなら、絶対こんな事しないよな。
ポケットティッシュなんて持ってる所見たことないもん。
「ふふっ。」
「どうしたの?」
わぁ!!
あたし、思い出し笑いなんてしちゃった!!
恥ずかしい!!
「ううん!!何でもないっ!!!」
「吉川さ……。」
「うん?」
「黒崎と付き合ってるの?」
「へ!?」
松田の真剣な眼差しと視線がぶつかる。
なんだろう……。
何だか居心地が悪いよ……。
「付き合ってないよ!
洸ちゃんとは、ただの幼なじみだから。」