初恋ノイズ


「うっわ!雨マジかよっ!!傘ねーよ!」



「夕立でしょ?すぐ止むよ!」



「走れ!走れっ!!」



「雷鳴ってない!?」




放課後。


あたしは下駄箱の入り口で、口々に文句を言いながら通り過ぎていく生徒達を眺めていた。



夕立が来るなんて聞いてない。


傘なんか持ってきてないよ。



千里は今日、塾があるからって先に帰った。


あたしが心配だからって、塾をさぼってくれようとしたんだけど、あたしが無理矢理帰した。


ありがと千里。


気持ちだけで十分だよ。


さっきのあの瞬間、千里が居てくれて本当に良かった。



「吉川?」


「あ。松田。」


靴に履き替えた松田が、あたしの隣に並ぶ。
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