初恋ノイズ


「背比べ。
ほら。昨日はあたしココまであったもん!今日はあたし洸ちゃんの胸までしか……」


あたしは、自分の頭の上に手を置いて、洸ちゃんのどの辺りまで背があるか確かめる。


ビシッ!


「いてっ!」


「俺は化けもんか。お前が縮んだんだ。」


そう言って洸ちゃんは、制服をハンガーから外す。


あたしは、洸ちゃんにチョップされた頭を擦りながら、洸ちゃんのベッドに座る。



昔は洸ちゃんチビだったのになぁ……。



あたしと洸ちゃんは、幼稚園からの幼なじみ。


家は歩いて一分もしない所にあるし、親同士がすこぶる仲が良くって、毎日のように遊んでた。


旅行だって一緒に行ったりしたし、お風呂だって一緒に入った事あるんだよ。


あたしも小さかったから(今も小さいんだけど)、一緒のクラスになった時なんて、洸ちゃんと一緒に背の順の一番前で、"前ならえ"は腰に手をあててたんだから!


とにかく、凄く仲良し!


洸ちゃんのママさんパパさんを抜かせば、誰よりも洸ちゃんの近くに居たはず!




でも、最近の洸ちゃんは、何だか少し前とは違う気がする。


毎日毎日、背が伸びてる気がするし、声とかも低くなった気がするし、肩幅だって何だかガッチリしてきたし……


「美晴。」


「ん?」


「いつまでそこで見てる気?」


「へ?何が?」


洸ちゃんは、上半身裸であたしを睨む。

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