初恋ノイズ
洸ちゃんが、驚いた顔でこちらに気が付いた気がした。
だけど、その姿は一瞬にして見えなくなる。
鼻緒が切れた音と同時に、階段と体が激しく擦りつけられる音。
「吉川っっ!!!」
階段の下からは、松田の叫ぶ声。
周りに居る人の悲鳴。
正直、死すら覚悟した。
もし、前のめりにならなかったら、確実に悲惨な落ち方をしていた。
考えるだけで、ぞっとする。
あたしは、鼻緒が切れた途端、前のめりに階段を2、3段滑り落ちただけで済んだ。
その時咄嗟に付いた手と腕、膝とふくらはぎを擦りむいただけで他に外傷はなさそう……。
ショックで腰が抜けて、突っ伏したまま動く事が出来ないけど……。