初恋ノイズ
違うよ洸ちゃん。
あたし、怖かったから泣いてるんじゃないよ。
洸ちゃんが、あたしを見てくれた事、触ってくれた事が嬉しいんだよ。
「…………松田。」
洸ちゃんは、あたし達を呆然と見ていた松田に話し掛ける。
「こいつ、貰っていい?」
松田は、驚いた顔で洸ちゃんを見る。
「いいけど……、白田さんどうするの?」
階段の上から、白田さんはショックを隠せない様子であたし達を見ている。
「……松田。後は頼んだ。」
「えぇ~!!」
洸ちゃんは、あたしを抱き抱えたまま、階段を駆け上がり、人気の少ない神社の裏手まで連れて行く。
そこであたしを下ろし、石段の上に座らせる。
「あーあ。痛てぇな、こりゃ。痕になったらどうすんだ。」
あたしの腕と足を見ながら、眉間に皺を寄せる洸ちゃん。
「大丈夫。痛くないよ。」
「泣いてるくせによく言うよ。」
洸ちゃんは、袖であたしの涙を拭う。
本当だもん。
洸ちゃんの側に居られない痛みに比べれば、こんなのへでもないよ。