初恋ノイズ
2ヶ月前、あたしは洸ちゃんと別れた。
といっても、話し合ったりした訳じゃない。
あたしがほぼ一方的に、メールで別れを告げた。
だって、もし洸ちゃんに会ったとしたら離れられなくなってしまう。
絶対に離れたくなんてなくなる。
だってあたしは、まだこんなにも洸ちゃんの事が好きだから……。
握り締めていたグラスの中の氷が、カランと音を立てる。
「あれ!?みーちゃん!?」
庭の入り口から現れたのは、
「洸ちゃんママさん……」
「遥香来た?」
ママが、縁側まで出て来る。
「希美!みーちゃん帰ってたの!?
みーちゃん久しぶり!!見ない内にすっかり大人の女性になって!」
洸ちゃんママさんは、凄く美人な人。
昔から、笑った顔が洸ちゃんとそっくりで、それを洸ちゃんに言う度に嫌がられてたっけ。
「洸ちゃんママさんお久しぶりです。」
そう言ってあたしが照れくさそうに笑うと、洸ちゃんママさんは嬉しそうに微笑む。
まるで洸ちゃんに笑いかけられてるような錯覚に教われて、胸の辺りに痛みが走る。