初恋ノイズ


「美晴。遥香んちに野菜運ぶの手伝ってやってくれる?」


ママが、縁側に用意してあった段ボールを近くまで持ってくる。


「おばあちゃんちからの夏野菜!まだ届いてるんだ!」



昔はよく、あたしが洸ちゃんちにお裾分けに行ったっけ。



「そうよ。相変わらず立派な野菜届いてるんだから。おばあちゃんも元気みたいだし。」


「そっか!良かった。」


「洸太が実家出ちゃってから、ナス多目に入れておく楽しみがなくなっちゃったけどねぇ。」


「ふふっ。そうだね。」



懐かしい。


全てが懐かしい。


まるで昨日の事のように掘り起こされる記憶達。


それらを愛しいと思う。




でも、今ここに洸ちゃんはいない……



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