初恋ノイズ


リビングに入ると、懐かしい洸ちゃんちの香り。


棚の上の写真立てに飾られている洸ちゃんは、まだちびっこい小学生の頃の洸ちゃんだ。



可愛い……。


つい顔が綻んでしまう。



「お盆休みなら少しの間、洸太帰って来てたんだけどねー。今はまた出張行ってるってさ。
みーちゃんは元気だったの?仕事、忙しいんだって?」


洸ちゃんママさんは、テーブルに自分の分とあたしの分のアイスコーヒーを用意する。


それを見て、あたしはダイニングテーブルの椅子に腰掛ける。


「元気……だったよ。仕事は相変わらず忙しいなぁ。今年は夏休み取れただけましだけど。」


「そっか。でも、元気なら良かったよ。
洸太の奴。心配してたからさ。連絡とれなくて、みーちゃんがどうしてるかも分からないって。」


「……そっ……か。」


「……みーちゃん。洸太の事嫌いになった?」


あたしの向かいの椅子に座ったママさんは、眉を下げて心配そうにあたしを見る。

< 75 / 100 >

この作品をシェア

pagetop