初恋ノイズ
「ちっ、違うっ!!!洸ちゃんを嫌いになるわけないっ!!!」
あたしは、勢い余って立ち上がる。
その瞬間、グラスの中身が少し溢れる。
「あ!ご、ごめんなさいっ!」
「大丈夫。そのままでいいよ。」
おばさんは、そう言ってキッチンに台布巾を取りに行く。
何してるんだろ。あたし。
こんな事で動揺したりして……。
もう決めた事なのに……
まだ、揺れているの?
「洸太はさ。」
洸ちゃんママさんが戻ってきて、台布巾でテーブルを拭きながら話始める。
「みーちゃんの事大切に思ってるよ。」
そう言って、あたしに微笑みかける。
「みーちゃんは短大だったから、洸太より早く就職したじゃない?その時洸太は4年生大学だったから、当時は結構焦ってたんだ。」
「え?」
「自分は学生で、美晴は社会人で、金銭面もそうだけど精神面も、自分の方が劣るのが情けないってよく言ってた。」
洸ちゃん……そんな事を思ってたんだ。
当時のあたしは、社会人生活に慣れるのに精一杯で、洸ちゃんがそんな事を思っていたなんて、ちっとも気付かなかったんだ。