初恋ノイズ


「でも……今は洸ちゃんの方がずっとずっと頼もしいよ。大手の会社に就職してバリバリ働いて、今じゃ若手一番の出世頭で……。」


「みーちゃんに追い付く為に、がむしゃらだったからよ。
あの子、今まで割りとそつなく何でもこなすタイプだったでしょ?でも、社会人になればそうはいかない。だから、余裕なくがむしゃらに仕事して、途中で止まる事が出来なくなって、そうしたら、いつの間にか一番大切な物を見失ってた……て所でしょうね。」


「………。」




あたしと洸ちゃんは、高校は同じ所に進学をした。


少しずつ、抜けきらなかった幼なじみモードから恋人同士モードになっていったのがその頃。


たまに喧嘩はするけれど、相変わらずあたしの隣には洸ちゃんが居て、洸ちゃんの隣にはあたしが居て。


いつも同じ歩調で歩いていた。



その関係が少しずつ変わり始めたのが、大学生になった頃。


あたしは、洸ちゃんと別々の大学に進学した。


やっぱりそれまでよりは、顔を合わせる機会も減って、会いたい時にすれ違ったりもして、少しだけ距離を感じたりもした。


でも、その時まだお互い実家暮らしだった事もあって、 部屋に行き来したりして二人の時間を大切にした。


まだ、側に洸ちゃんの温もりを感じていたと思う。



だけど、あたしが先に就職をして、2年後に洸ちゃんが就職をして、今までの関係がガタガタと崩れていったの。


最初は、お互い実家から職場に通ってた。


でも、仕事のせいで日々すれ違い、なかなか顔を合わせる事が出来なくなっていったあたし達。
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