初恋ノイズ


でも、どうしても会いたくなった時は、お互い部屋で帰りを待っていたりして、会えた時は本当に嬉しかった。


でも、就職から何ヵ月かした時、洸ちゃんは職場に近い都内に部屋を借りる。


それだけならまだ良かったのに、あたしもすぐに配属先の関係で地方に転勤になる。


当時は、お互い忙しくて、てんやわんやで、離れる事が寂しいなんて言ってられなかった。


気が付いたら、遠距離恋愛が始まっていたんだ。



始めはどうにかなると思ってた。



今までずっと一緒だったんだもん。



遠距離くらいで、その関係が歪むはずはないと思ってた。


でも、そう上手くなんていくはずなかったんだ。



あの時、離れてしまった事、二人でよく考えなかった事、今では凄く後悔してる。


あの時あたし達は、離れている距離が心の距離と比例するなんて思わなかった。



日々のやりとりは、日中忙しいせいでもっぱら就寝前のメールのみになって、きちんと会うのも2、3ヶ月に一回。


声だけでも聞きたくなって連絡しても、お互いタイミングが合わない。


そんな日々を3年間続けた。




そして、気付いてしまったんだ。


あたし達は、もう昔みたいに隣を歩く事は出来ないんだって。


あの中学生の時に感じたような距離じゃない。


もっともっと、どうもしようもないような問題。



大人になるってこういう事なのね。


例え好き合っていても、どうしようもならない問題があるの。


そう諦めようとすると逆に苦しくなって、洸ちゃんに会いたくなって、でも会えなくて、もっともっと苦しくなって……。

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