初恋ノイズ
そもそも何であたしは、15歳のあの頃の事をこんなにも鮮明に思い出すのか。
何であの頃にこんなにも焦がれるの?
-----ドクンドクンドクンドクン……
階段を上ってすぐの屋台の屋根が見えてくる。
ゆっくり、ゆっくり階段を上がると、視界が段々開けてくる。
屋台の前に立つ人影。
まさか……まさか……
階段を上る足が速さを増す。
洸ちゃんの……後ろ姿……
「洸ちゃん!!」
階段を駆け上がる。
屋台の前に立っていた人が、不思議そうにあたしを振り返る。
洸ちゃんじゃ…………ない。
「す、すみません!人違いでした……」
その人は、「いえ。」とニッコリ笑って、隣の女の子と手を繋いでその場を去って行った。
あたし……何やってるんだろ。
こんな所に、洸ちゃんが居るはずないのに……。