初恋ノイズ




洸ちゃんに追い付く事すら出来なくなってしまった今、あたしは洸ちゃんを諦める事しか出来ない。



あたしは、変わってしまった。



あの頃のようにがむしゃらに洸ちゃんを追いかけるなんて出来やしない。



それが、大人になるという事なのかどうかは分からないけど……。



だけど。



だけど、一つだけ変わらない事があるとしたら……




また、あの時と同じような風が通りすぎる。


木の葉がサワサワと音を立てて揺れる。



「洸ちゃん……好き。大好き。側に居たいよ……。」



届くはずのない思いが口をついて溢れる。


それと同時に、涙が頬を滑り落ちる。




何やってるんだろあたし。


こんな事を言ったら、余計に洸ちゃんに会いたくなるだけなのに……。


駄目だ。


家に帰ろう。


ここに居たら洸ちゃんを思い出してしまう。


やっぱり地元になんて帰って来るんじゃなかった。


心の整理をするつもりだったのに……これじゃ、逆じゃない。

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