初恋ノイズ
あたしは無理矢理涙を拭い、その場を立ち去ろうとした。
その時……
「美晴っっ!!!!!」
-------------え?
「洸…………ちゃん……?」
やだ。
あたし、とうとう洸ちゃんの幻聴まで聞こえちゃってるの?
洸ちゃんがこんな所に居るわけないじゃない。
「美晴っ!!!」
お祭りに戻る道の向こうから、スーツを着た人影が走って来る。
幻聴なんかじゃない。
「洸……ちゃん?」
そう言葉が溢れ出るのと同時に、洸ちゃんの伸ばした大きな手が、あたしを強く引き寄せた。
あたしは、洸ちゃんの胸の中にスッポリと包まれて、痛いくらいに抱き締められる。
荒い洸ちゃんの呼吸。
鼓動が、肌を伝ってくる。
「洸ちゃん……何で……」