初恋ノイズ
「昨日、お袋から連絡があった。お前が来てるって……。」
頭上から落ちて来る、洸ちゃんの低い声……。
この声を聞くのは、どれくらい振りだろう。
冷えきっていたあたしの心が、じんわり熱くなる。
「出張だったんじゃないの……?仕事、大丈夫なの……?」
洸ちゃんはゆっくりあたしから体を離すと、あたしをわざと冷たい眼差しで見詰めて
「ぶひゅっ!?」
あたしの両方の頬を両手で豪快に挟む。
「ちょっ!こうひゃん(洸ちゃん)!?」
「俺の仕事の事とか、どうでもいいんだよっ!!!」
洸ちゃんは眉を吊り上げて、鼻と鼻がくっつきそうなくらい、あたしに顔を近付ける。
「お前、なんなんだあのメールは!!
"別れよう"って一方的なメール寄越して、3ヶ月も音信不通になりやがって!!!」
洸ちゃんの手が頬を離れて、肩に滑り落ちてくる。
その上に、洸ちゃんの頭が力なくもたれ掛かる。
「……俺がこの3ヶ月間、どんな気持ちだったか分かるか?」