初恋ノイズ
最後の夏祭りに向けて
「おーーい!!みーっ!!!」
「千里っ!!おはよ♪」
下駄箱に入ると、独特な学校の香りがして来る。
中学の校舎は冷房がないし、夏は常に窓が開け放たれていた。
それが余計にむわっとした校舎の空気を運んで来て、あぁ学校だなって実感するんだよね。
「おはよ♪あ。居たの?黒崎。」
「はいはい。お前はそういう奴だよ……。」
洸ちゃんは、下駄箱に靴をしまいながらうんざりした顔をする。
千里は、小学校5年生の時に一緒のクラスになって以来大親友!
毒舌だけどサッパリした性格の千里とは、初めて会った時から意気投合。
美人で背も高くて性格も良くて、あたしにとって憧れの存在でもあるんだ。
小学校5年生でそんな存在に出会えるなんて、あたしってついてるとしか思えない!
でも、洸ちゃんと千里は、出会って以来ずっと悪友って感じ。
しょっちゅう、火花を散らしてる。
あたしは、何かのコントを見てるみたいで楽しいんだけどね。
「じゃーな。俺先行くぞ。」
「うん!!自転車出してくれてありがとね!!夏期講習頑張ろうね!!」
洸ちゃんは、少し微笑んでからあたし達に背を向けて軽く手を上げる。
行っちゃった。