初恋ノイズ

洸ちゃんの指が、あたしの涙を拭ってくれる。


「昨日お袋にも言われたよ。『大事なもの見失ってんじゃない!』って。」


洸ちゃんが、ママさんの真似をした口調で言うから、思わずあたしの頬が緩む。


「でも、本当だよな。
くっそ。言い訳したくはねぇけど、側に居りゃお前が何を思ってるかなんて手に取るように分かるのにな。」


「……そうなの?それはそれで嫌だなぁ。」


あたしが、頬っぺたを膨らますと、洸ちゃんが楽しそうに笑う。


「ふっ。ずっと一緒だったんだ。当たり前だろが。」


洸ちゃんは、あたしの涙を袖で拭うとまた真剣な顔であたしを見る。
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