それでも僕等は恋を繰り返す
それも睨みつけながら。
何か機嫌が悪いんだろうかと思ったら、ドアの前に立っているあたしの前で立ち止まり、親指で唇をサッと擦ってきた。
「チビが色気づいてんじゃねーぞ」
少し前、椿に半ば強引に買わされたグロス。
少しでも柊に可愛いと思われたくてつけていっていた。
「なっ!別に色気づいてなんか…てかグロスくらい誰でも…」
じっとあたしを見下ろす彼は、少ししてそのまま窓から出ていく。一体何をしに来たんだろうと思う。
「なんなの…」
拭われた唇が―――あつい。