Level Blacks
「わっ…!!!」
小さな段差につまづいて転んでしまう。
膝が、痛い。
起き上がろうとしたその時、
「あ…っ!」
バランスを崩して坂道を転げ落ちていった。
頭の中で映像が流れる。
これは走馬灯か?
ああ、直哉と両想いになりたかった。高校生活たった3年の内もう1年も片想いして、二度も告白したけど断られて、最近ようやく距離が近づいてきたと思ったのに。まだ終わりたくないよ。
奏多とも気まずいまま終わりたくない。
わたしの周りには最高の友達だらけで、ああ、親友の絵子の誕生日だってもうすぐなのに。サプライズの準備、してるのに。
まだ、まだ、まだ死にたくないよ…
頭を何度もガンガンとぶつけ、朦朧としていく意識の中
「七花…!」
奏多の声を最後に聞いて、私の意識はなくなった。