Level Blacks

「直哉、そこに居るの?…ねえ返事してよ、直哉…」

直哉からの返事が聞こえないまま、時間が通り過ぎていく。

突然パッと光が灯り、部屋を照らす。
壁が黒いせいか、薄暗さは依然残っている。
そこに立っていた人の影はその声通り、直哉だった。

「ねえどうしてここに居るの?直哉も死んだの…?」
「七花」

特別仲が良いというわけではない直哉に名前を呼ばれて、どきっとする。

「俺は七花を落とす義務があった。でもうまく行く自信がなかった。何せこの通りコミュ症だし人見知りだからね。でもどういうことか、七花は俺に惚れてくれた」

いつも口数の少ない直哉がいきなり饒舌に話し出し、そしてその話の内容にぽかんとしていると直哉は私に近づいて、私の顎に手を添えた。

「…俺の勝ち…って事でいいよね?」

いつもより遥かに近い直哉との距離にどきどきしながらも、直哉の言っていることの意味が未だ、わからない。
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