Level Blacks
試しに体を起こしてみると、確かに自由がきき、痛いところもない。
「七花!!!」
「絵子!」
絵子が保健室に飛び込んでくる。
「ねえ大丈夫?!今日も遅刻しそうだったけど奏多から連絡きて急いで来たんだから!」
絵子は微笑む私を見るとほっとしたようにため息をつく。
「ん?これは…?」
そう呟く絵子の視線の先には、私の手。
そしてその手の上には何故かギターのピックが乗っていた。
「なんで?!」
そのピックは、直哉がいつも使っているピックだ。
どういうことなのだろうか、まさかあの暗い部屋での出来事は夢ではないとでも言いたいのだろうか…?
驚いて絵子と目を合わせていると、窓の外ではいつもの如く遅刻しそうになっている直哉がこちらを気にすることなく走り去っていった。