一番がいい!!


言い返そうとしたとき




「静香センパイ、ボールに当たったんですか?!」




叫ぶように、慌てた声がした。




「違うの!

ボールが来てるのに気付かなくて、柳澤くんが助けようと背中を押してくれて、転んじゃっただけ」




大きく首を横に振って、否定する静香の声。




あっ、静香は大丈夫なのか?!




急に不安になり目を向けると、立ち上がろうとしている。




柳澤を無視して、静香に近付いて手を差し出す。






「静香、ごめん…

ケガはないか?」




手を見つめ、躊躇しているのを感じる。




なんで、迷ってる?




オレのこと、好きじゃなかったのか?









あのとき…




『好きになってくれたら』って言葉は、




『友達として』ではなかったはず…




その気持ちに気付かないフリをしたけど…






あのときから、静香のことが気になるようになったんだ…







コイツに心変わりしたのか?




オマエの気持ちはその程度だったのか?







決意したかのように、オレの手に捕まる静香を引っ張り起こした。




「…ちょっとビックリしただけだから」




顔を上げずに、答える。






サッと手を離すと




「三浦くん、練習の邪魔してごめんなさい」




ぺこりと頭を下げて、柳澤を引っ張って行ってしまった。




三浦くん…




大也って呼ぶ約束はどーしたんだよ…





柳澤は振り返りながら、オレのことを睨んでいたが、




静香がオレを見てくれないかったことが気になって静香の背中を見ていた。


〜 大矢side 終〜


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