一番がいい!!




柳澤くんは?!




ハッとコートを見ると、挨拶を終えて体育館を出るところ…






追いかけなきゃ!






立ち上がろうとすると…



遊実が手首をつかむ。




「今は、やめたほうがいい…」




「…えっ …?」




「見られたくないでしょ、負けた後の顔なんて…」





負けた…




負けたんだ…





「…そーだね。 …そーだよね…」




ペタンと座り込むと、もう一度、静香センパイを見た。






体育座りで、膝に頭をつけている。





その肩が震えていた…




そっと手を伸ばし、背中に手を当てると




「…知里ちゃん、ごめんね。

ごめんね…」






小さな小さな声で、つぶやいた。




「センパイ?

どーしたんですか?

話してくれないとわからないですよ…」




私の声も小さく、涙がポロポロこぼれてきた…




私の肩を遊実が抱きしめてくれる。


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