一番がいい!!
「ちょっと、外出ようよ!」
私の手を引っ張り、階段の踊り場まできた。
「で、どーゆーこと?!」
顔に似合わない怖い声。
もう、自分の中に抱え込むことは限界だった…
「…静香センパイに好きな人がいるか私が聞いていれば、2人が傷つくことはなかったの…
原因を作った私のこと、嫌って当然よ…
一緒に花火なんて行きたいわけないじゃない…」
踊り場に、一粒一粒涙が落ちる。
「そんなこと、考えてたの…
もっと早く話してくれたらよかったのに…
二人は、知里のこと嫌ってないよ。
だって、二人のために頑張ってたの知ってるから。
遠くから見てたあたしが気付くくらいだもん!
二人には十分伝わってるよ!
柳澤くん、スッキリしたって言ったんでしょ?
引きずってないってことなんじゃないの?」
「でも…
フラれた日に、そんなこと言うって、
私に気を使ってただけで…
あとから、落ち込んだんじゃないかって…」
「はぁ…そんなこと…
もし、そー思ってるなら花火大会に一緒に行こうなんて言わないでしょ?」
「話の流れに乗っただけで…」
「じゃあ、聞くけど、
知里は、知里のキライな子が花火に行く話してて、誘われたらどーするの?」
「イヤだけど、断れないかも…」
「フフッ、知里らしい…
じゃあ、キライな女の子の胸で泣くと思う?
そんな弱いとこ見せると思う?」
あの日…
肩を震わせていたあのとき…
鮮明によみがえってくる…