一番がいい!!



ダメだ…



もう抑えられない…





アゴをグイッとあげると



顔を近付ける。




知里は、ギュッと目を閉じた。








あっ、この顔…



しまった…




また、傷付ける…





手を離す。



知里と目が合う瞬間、




プイッと横を向く…




「こんなことしないって言ったのに、ごめん…」





離れなきゃ…




コイツがどれだけ大切にしてるかわかってたのに…





立ち上がろうとすると腕を捕まえられた。




何…?





「違うの…

あのとき、泣いたのは…

智哉とキスしたかったから…」




「えっ?!…」




何言ってるんだ?!



キスしたかった?


泣いたのに?






わからない…




動けなくなった。



「あのとき、智哉とキスできると思ったら、嬉しくて…」



「イヤで泣いたんじゃ…」



首を横に振る。




そんなことってあるのか?




初めて聞くんだけど…



驚きすぎて言葉が出ない…




知里が続けて話す。



「智哉が、静香センパイ好きなの知ってるのに…

私だけ好きでもいいって思っちゃってる自分がイヤで…

なんか頭の中がぐちゃぐちゃになってて…

知らないうちに涙が出てて…」




また、泣き出した…




頭がぐちゃぐちゃなのは、オレだよ!!




知里の頭の中がわからない…



わかったことは、オレが今まで関わってきた女と、全く違うことだ…





< 320 / 360 >

この作品をシェア

pagetop