一番がいい!!
花火大会に一緒に行きたいって言ったのは、翔平が遊実のこと好きだったから。
いつもは、好きな子にはグイグイ行くのになぜか今回は行けない、ヘタレになってたから。オレが背中押してやろうと思って。
花火大会のときの知里を見て、一瞬誰かわからなかった。
こんなにキレイなんだ…
前から静香センパイと見比べても、引けを取らない美人だとは思っていたけど、ここまでだったとは、正直驚いた。
そして、
見惚れてしまった…
まさか、人生2度目の一目惚れがこんなに早く来るなんて思わなかった…
こんなに惚れっぽかったか?オレ…
一目惚れなんて軽い気持ちで好きなんて言わないでって言われたっけ…
これは、ダメだなぁ…
静香センパイのことも思い出になってたし、夏休みは遊ぼうって思ってた。
でも、このときの知里が頭から離れなくなっていて…
電車は満員だった。
背の高いオレは平気。
知里は下駄でふらつく足を必死に耐えていた。
その姿が可愛くて守ってやりたくなった。
けど、簡単に触れていいのかわからなくて、手を貸そうか迷っていると
ガタン!
大きく電車が揺れて知里がオレに捕まってきた。
「ごめん!」
離れようとする知里の背中に手を回して
「いいよ、このままで」
心臓がドキドキして、顔も赤くなってた。
知里が顔を上げたから、別の方向を向く。
こつち見るなよ…
ついさっきまで、なんとも思ってなかったのに…
こんなに意識してしまう。
知里は、オレの裏の顔を知っているから、気楽に話せる。
翔平のことも
「看護師志望」
とか言っちゃう!
はっきり言う!
天然じゃない!
完全バカなとこも好きだと思った。