黒の魔法師
***
「ごめんなさい」

そう言われたのは数日前だった。
理由は言われなかったし、聞きもしなかった。
なんとなく察しが付いていたから。

でも起こってみれば唐突で突然で、色々な思いや考えが頭の中を巡っていたが今の私には何も出来ることはなかった。
「ねぇ、どうしよう」
振り替えると一緒に稽古をしていた少年と少女が不安気な表情をしていた。
「逃げた方がいいんじゃ…」
その言葉にまわりを見渡してみた。
建物は崩れかけ、そこかしこで争いが起こっていた。
「これは待っていたきっかけ。最悪な形だけど、私達が願わなければ絶対戻ってくることはない」
そう言って再び振り返った。
二人は不安と怯えが混ざった表情を浮かべていた。
「大丈夫、二人は絶対護るから。他の子達も出来る限りの事はする」
そう言って両手を差し出した。
二人は頷き手を取ってくれた。



その日、魔法を嫌い暗殺を生業としていた“黒影一族”が殲滅したというニュースが全国に流れた。


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