空色canvas
校舎を出ると、灰色だった空の色はもっと深くなっていた。
ポツ…――
ポツ…――
そして案の定、雨が降りだした。
サヤが来ていないのは分かっていたけど、もしかしたら…と期待を抱いて足を進める。
聞きたいことがあるんだ…
だけどやっぱりそこにはサヤの姿はなくて…
「いない…か…」
軽く肩を落とした。
そして俺はいつもならここで引き返すのに、今日はそのまま何となく芸術棟の中へと入って行った。
初めて体感する独特な雰囲気…
たくさんの絵や彫刻が置いてあって、俺には別世界だ。
人気のないロビーの真ん中に立ち、ぐるっと一周見渡す。