空色canvas
7:闇夜と突然の訪問
「………」
長い長い先生の話を俺はほとんど相槌をうつのも忘れて聞いていた。
あのとき言っていたサヤの言葉が今なら理解できる。
『10歳だよ♪』
『でもね…みんな違うって言うの。サヤは10歳なんかじゃないって…ゆっくりでいいから20歳のサヤに戻りなさいって…』
あの言葉の裏にこんなことがあったなんて…
「…記憶はいつか戻るんですか?」
消えてしまったものはいつか元に戻るのだろうか…
俺の真剣な目に先生は冷えたコーヒーを口にした。
冷えたコーヒーはとても不味い…。
俺はただ自分のカップを見つめるだけだった。