空色canvas
「…気分転換にな」
気分転換に絵を描く?
全く俺のイメージじゃないな。
「え~?らしくないね」
やっぱり指摘されてしまった。
「…うるせぇな…」
俺もキャンバスへと目を向ける。
少しも汚れていない真っ白なキャンバス。
それはやっぱりサヤ自身のような気がして…
昨日知ったサヤの秘密を隠してしまおうとする自分が居た。
「じゃあ、帰るね。お粥ちゃんと食べてね」
「あぁ、ありがとな。彼氏のこと大事にしろよ…?」
俺の言葉を受け止め、菜央は「うん…」と言って微笑んだ。