空色canvas
圭介と菜央に別れを告げ、俺はサヤと二人大学を後にした。
少し前まではこうしてサヤと二人で大学の外を歩くなんて想像もしてなかった。
でも今は当たり前のようにサヤが隣に居て手を繋ぐ。
青い空と眩しい光…。
太陽を一身に浴びた俺たちは美術館の中へと足を踏み入れた。
閑散とした白一色の部屋は天井が高く、ヒールの高い靴を履くサヤが歩く度にカツーン…と響き渡る。
ゆっくりと足を先へ進め、奥へ奥へと歩いていく。
そして俺もサヤも一言も喋らず、無言のままある一枚の絵の前で足を止めた。
額縁の下には作品名と作者名が書かれている。
『蒼井 彩耶』