空色canvas
1:夢と絵の具
「榛真(ハルマ)!帰り飲みに行かね?」
黒髪、短髪の圭介が俺の背中をポンッと叩く。
「いいね~行く行く!」
即答した俺は学校を後にし、そのまま圭介と夜の街へと繰り出した。
ここ最近ずっとこの調子だ。
授業を終えて大学で時間を潰し、夜は毎日飲み歩く。
そして次の日そのまま大学に行くこともあれば、サボることも多々…
もう二週間、家には着替えと風呂に入るためだけにしか帰っていない。
二週間前まで愛に溢れていたあの部屋にはまだ彼女の香りが残っているから…
あの空間に居ると泣きそうになるんだ。
次帰ったときに少しでも彼女の残り香が薄れていればいい…。
そうやって現実を二週間経っても受け止められない自分にイライラしながらまだ一歩を踏み出せないでいる。