本物の友達の基準って何?!




教室に入り、準備をしていると、昨日のようにいろんな人たちが話しかけてきてくれた。

質問はもちろん、随分先にある体育大会や合唱会のことを教えてくれたり、自己紹介をしてくれたりと、話の内容は様々だ。

私はなんとか笑顔で話すことができて、クラスの雰囲気に少し馴染むことができた。

入ったクラスがいい人たちばかりで良かったなとつくづく感じた。

授業も静葉ちゃんのおかげで追いついていけている。


「あ、美澄ちゃん。

次移動教室だから一緒に行かない?」

放課になった瞬間、誰よりも早く静葉ちゃんが話しかけてくれた。

「あ、うん。ありがと。」

静葉ちゃんに一言言ってから、時間割を確認して教科書の準備をする。

その後静葉ちゃんの方に寄ると、静葉ちゃんの後ろには女子が3人並んでいた。

「紹介するね。

私の友達で、左から梨乃と葵だよ。」

ニコリと笑う静葉ちゃんにつられ、私も笑い一礼した。

梨乃ちゃんは雰囲気が静葉ちゃんに似ていて、静葉ちゃんはふわふわした感じだけど梨乃ちゃんは元気な感じ。

逆に、葵ちゃんはクールな感じで、見かけでは私と相性が良さそうだ。

「じゃあ行こっか!」

静葉ちゃんはそう言い微笑むと、私の腕を引いて歩きだした。

私の隣には静葉ちゃんがいて、梨乃ちゃんと葵ちゃんは私達の後ろを歩いていた。

移動教室だけだから、少ししか話せなかったけれど、静葉ちゃんはとても楽しそうにいろんな話をしてくれた。

席は教室と同じような席順のため、静葉ちゃんと近くて安心した。

ただ、転校わずか2日で気付いたことがある。

それは、静葉ちゃんの独占欲。

転校生を自分のグループに引き込もうとするのは、女子ではよくあること。

そのために、他の子たちより率先して話しかけるのは分かる。

だけど静葉ちゃんは席が近いのもあり、学校生活に置いては四六時中一緒。

他の子も学校について教えてくれたりするけれど、たまに静葉ちゃんに遮られたりしている。

だけど、静葉ちゃんが私と一緒にいて楽しそうだし、別に良いかなと思ったりする。

授業が終わり放課後になると、

「美澄ちゃん、一緒に帰ろ!」

静葉ちゃんが声をかけてくれた。

「あれ、梨乃ちゃんと葵ちゃんは?」

2人の姿が見えなくて尋ねると、

「2人は方面が全然違うの。

2人は小学校一緒だったんだけど、私は違って中学で仲良くなったからさ。」

静葉ちゃんは少し寂しげな表情を浮かべて答えた。

私は、そっかとだけ返事をして、帰る準備をして静葉ちゃんについていく。



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